専門家に聞くペットのためのQOL
【vol.2】
猫のフィラリア症に
ついて
金本 勇先生
【vol.1】
骨関節炎について
永岡 勝好 先生

「骨関節炎について」

日本大学生物資源科学部非常勤講師(整形外科担当) 永岡勝好先生

日本では、10頭の犬のうち1頭が患っていると言われ、発症すると完治は見込めない、やっかいな「骨関節炎」。関節疾患の治療のために日本全国から患犬が訪れるという、みなとよこはま動物病院院長で、日本大学生物資源科学部非常勤講師(整形外科担当)の永岡勝好先生に、骨関節炎をとりまく現状についてお聞きしました。

犬は地球上で一番「関節疾患」を起こしやすい動物

 実は、犬は地球上の哺乳類の中で、一番、関節疾患を起こしやすい動物なのです。
 人と犬とのつき合いは2万年と言われ、今日までに人はさまざまな犬種を作り出してきました。チワワからセントバーナードまで、体格も容姿も同じ犬とは思えないほど、バラエティに富んでいます。けれども、元をたどれば犬はオオカミが家畜化されたものであり、立ち耳のオオカミタイプが犬本来の原型です。そこから、さまざまな犬種を作るために人為的に改良が加えられました。
 そして、過度な改良が重ねられた結果、悪しき副産物として骨格にひずみが生じ、犬は他のどの動物よりも関節疾患を起こしやすくなってしまったのです。まさに関節疾患は人が作り出した病気なのです。

関節に異常がみられる犬のレントゲン写真

骨関節炎になりやすい犬、なりにくい犬

「骨関節炎」は、大きく動く関節に炎症が起こって痛みを伴う病気で、遺伝による先天的な異常、免疫、肥満、外傷、加齢など原因はさまざまです。発育期の子犬に多く見られるものや、老化によって起こるものなど、いろいろなタイプがあります。
 どんな犬でも骨関節炎にかかる危険性をもっていますが、特に発症しやすい犬種は、ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ピレニアン・マウンテンドッグ、バーニーズ・マウンテンドッグ、ボーダー・コリー、ウェルシュ・コーギーなどです。
 犬種の祖先としては最も古いとされるグレイハウンド系には少なく、マスチフ系に多い傾向にあります。また、小型犬よりも大型犬のほうが、関節に大きな重力がかかる分、進行が早く重症になりがちです。

犬種ブーム、高齢化、ドッグスポーツ etc 近年、骨関節炎の犬が増えている!

 骨関節炎を患う犬は年々増えていますが、主な原因として次のようなことが考えられます。


●ラブラドールやゴールデンなど、関節炎を起こしやすい犬種の人気が高くなり、
全体的な頭数が増えた。

●犬の寿命が延び、老化による関節炎が増えた。

●人の生活様式の変化に伴い、犬の生活環境も変化し、階段の上り下り、
滑りやすい床、硬いコンクリートの上の散歩など、犬の関節に負担がかかるものが増えた。


また、飼い主と一緒に楽しむアジリティやフリスビーなどのドッグスポーツをする犬が増えたことで、運動中に関節炎を悪化させたり、けがをしたりするケースも多くなっています。

一度発症したら、骨関節炎は治らない。生涯にわたるケアが必要!

 骨関節炎は犬の代表的な慢性病であり、一度発症したら残念ながら完治しません。けれども、治療によって関節炎の進行をおくらせ、痛みを和らげることができます。
 骨関節炎の治療には、理学療法(温浴治療、赤外線治療、超音波治療、レーザー治療、針治療ほか)や投薬などによる「保存療法」や、手術による「外科療法」があります。手術は症状を悪化させないために行うもので、手術によって完治するわけではありません。つまり、手術は治療のゴール(到達点)ではなくスタート地点であり、術後も継続的な治療が必要です。
 骨関節炎は一生つきあっていかなければならない生涯病ですが、適切な治療と飼い主さんの手厚いケアによって、愛犬はこれからも元気に生活していくことができます。

温浴治療の様子。温浴効果により血行を促進。痛みを緩和する


レーザー治療の様子。患部を照射して痛みを緩和する

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