ネコエイズココが聞きたい 獣医師インタビュー

ネコエイズについて、もっとくわしく知りたいこと、確認しておきたい疑問や不安について、
獣医伝染病学の専門家、宝達 勉先生にお聞きしました。

ネコエイズの唯一の予防手段はワクチン接種。うつらない・うつさないためにも予防しましょう! 宝達 勉先生 (北里大学獣医学部獣医伝染病学研究室教授)

Q.ネコエイズが人にうつることはあるの?
ウイルスイラスト

ウイルスの感染を鍵と鍵穴にたとえると、ウイルスが鍵で、体の細胞の表面にはウイルスを受け取る鍵穴があり、この2つがぴったり合うことで感染が成立します。エイズは猫にも人にもある感染症ですが、原因となるネコ免疫不全ウイルス(FIV)と、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、似ているけれど同じではなく、鍵と鍵穴の型もそれぞれちがうので、ネコエイズが人に感染することはありません。

Q.日本ではどのくらいのネコが感染しているの?

国内での感染率は10%程度だといわれています。健康な猫よりも慢性疾患にかかっている猫、室内飼育よりも自由に外出している猫や野良猫、メスよりもオスのほうが、感染率は高くなります。

Q.猫同士のグルーミングや普段の生活でもうつるの?

ネコエイズはおもにケンカによる咬み傷から感染します。『猫白血病ウイルス感染症』は、感染している猫とグルーミングし合ったり、同じ食器を使ったりすることで感染しますが、ネコエイズはこうした日常生活での感染は少ないと考えられています。ただし、感染している猫の血液を舐めれば感染することはありえるので、可能性はゼロではありません。

ネコイラスト
Q.一緒にくらす猫が感染していたら、どうしたらいいの

ネコエイズは空気感染しないのでうつりにくい感染症ですが、感染した猫は体内にウイルスを一生持ち続けるため、生きている限り、他の猫にうつす可能性があります。多頭飼育の場合は、感染している猫と健康な猫との接触はできるだけ避け、完全に隔離できれば理想的です。また、感染していない猫には、ネコエイズのワクチン接種をして感染を予防することをおすすめします。

Q.ネコエイズはワクチンで予防できるの!?

ネコエイズは世界各地で発生していて、アメリカやカナダ、オーストラリアではすでに予防ワクチンが市販されていました。そして、近年、日本でもワクチンが認可され、国内でもネコエイズは予防できる病気になりました。ただし、すでにネコエイズに感染している猫には、ワクチンを接種しても効果はありません。

ワクチンでよぼうにゃ
Q.ワクチンは1回打てば大丈夫なの?
ワクチンイラスト

ネコエイズワクチンは、初めて接種する年には3回、1年後にもう1回接種することで免疫力が上がり、効果を長く持続させることができます。その後は、ほかのワクチンと同じように毎年1回追加接種するのが一般的です。

Q.ネコエイズにかかったかどうかは、すぐにわかるの?

ネコエイズウイルスに感染しても、特徴的な症状がすぐに現れるわけではありません。年月をかけてウイルスが増殖し、リンパ節が腫れている、かぜの症状が治まらない、口内炎や歯肉炎が治らないなどの症状が現れて初めて、感染しているとわかるケースがほとんどです。ですから、ご家庭で早い段階で気づくことは難しいでしょう。

きづいてにゃ~
Q.かかっているかどうか、調べる方法はないの?

血液検査をしてネコエイズの抗体をチェックすることで感染しているかどうかがわかります。動物病院で調べることができ、15分程度で結果がわかるので、ワクチンを接種する前に検査を受けることをおすすめします。

びょういんいくにゃ!
Q.ネコエイズにかかったら、一生治らないってホントなの?
なおらないにゃ?

感染すればネコエイズウイルスは体の中から一生消えないので、完全に治すことはできません。治療法は出てきた症状を和らげる「対症療法」となります。人のエイズでは抗ウイルス薬が一定の治療効果をあげていますが、猫では副作用の問題などもあり使用されていません。

Q.感染していることがわかったら、どうしたらいいの?

完治はしませんが、環境を整えることで発症を遅らせることができますし、発症しないまま寿命を迎える猫もいます。感染がわかったら、健康管理をしっかり行って、他の病気にならないように注意することが重要です。ストレスも免疫力を低下させるので、ストレスをかけないようにすることも大切。また、他の猫にうつさないために、室内できちんと管理して飼育してください。

宝達先生からのメッセージ 宝達先生

ワクチン接種は、現在、完全に治療する方法がないネコエイズの唯一の予防手段です。感染すれば将来的に慢性な症状に悩まされる可能性が高くなりますが、いつ発症するのかその不安をずっと抱えて猫と暮らしていくことは、飼い主さんにとって大きなストレスになると思います。発症したら愛猫が苦しい思いをすることになりますし、飼い主さんにも精神的、身体的、経済的な負担もかかってきます。また、ワクチンを接種して病気を予防することは、愛猫を守ることはもちろん、愛猫が感染源となって他の猫へ感染させないという飼い主さんの責任でもあります。ネコエイズにかからない、そして、うつさないためにも、ワクチン接種をおすすめします。

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